独立して9年目に、初めて「自分がいくら稼げば成立するのか」を計算した
子ども4人・教育費6,900万円・51歳。8期分の数字を全部並べ直した話。
42歳で会社を辞めて、独立しました。いま51歳、8期目です。
正直に書きます。独立するとき、私は計算していませんでした。
「なんとかなる」と思っていたわけではありません。ただ、何をどう計算すればいいのかが分からなかった。売上がいくら要るのか。経費はいくらかかるのか。子どもの教育費はこれからいくら出ていくのか。全部ぼんやりしたまま、「やってみないと分からない」と自分に言って、辞めました。
8年間、それで回っていました。回っていたので、計算しないまま来ました。
去年、通帳とカードの明細と決算書とカレンダーを全部並べて、初めてきちんと計算しました。そこで出てきた数字が、思っていたより、はるかに厳しかった。
この記事は、そのときやった計算を、順番どおりに書いたものです。一般論ではありません。子どもが4人いて、51歳の、私の場合の数字です。
1. なぜ、感覚で決めてしまったのか
独立を考えるとき、たいてい最初に調べるのは「どんな仕事で独立できるか」です。私もそうでした。
でも、9年やって分かったのは、先に決めるべきなのは仕事の中身ではなく、「いくら要るのか」だということです。
理由は単純で、必要な金額が決まらないと、仕事を受けるかどうかを判断できないからです。
独立して数年、私は1日15万円の仕事を受けていました。悪くない金額に見えます。実際には、その裏で資料をゼロから作る時間が丸2日、移動が往復6時間かかっていました。それを全部足して割り直すと、時給は1万2,500円でした。
そして、あとで計算して分かったのですが、私の場合、時給2万円を割る仕事は、受けるほど赤字でした。その事実を、8年間知らないまま働いていたことになります。
2. 最初に計算した3つの数字
計算は、次の順番でやりました。難しい知識は要りません。必要なのは、自分の実際の数字だけです。
① 毎月、確実に出ていくお金(固定費)
事務所、通信、保険、税理士、ソフト、そして自分の役員報酬。「事業のお金」と「家のお金」を分けずに、両方まとめて出します。分けると、生活が成り立つかが分からなくなるからです。
② これから出ていく教育費の総額
ここが、いちばん見落としていたところでした。
子どもが4人います。いちばん下が大学を出るまでに、塾・受験・学費を全部足すと、総額はおよそ6,900万円になりました。
この数字を出したとき、正直、手が止まりました。「毎月いくら」で考えていたときには見えなかった金額です。
③ 住まいにかかるお金
ローンが残っているなら残額と固定資産税と修繕、賃貸なら家賃。これも「毎月いくら」ではなく、これから出ていく総額で出します。
私の場合、住宅ローンはありません。ここが軽いぶん、②の教育費の重さが、いっそうはっきり出ました。ローンを抱えている方は、ここが②と同じくらいの塊になります。
3. 出てきた数字
この3つを足して、月あたりに割り戻し、経費率を掛け直しました。出てきたのが、この数字です。
月およそ300万円弱
これが、私の場合の「毎月ここを超えないと赤字になる」ラインでした。年間にすると3,500万円弱です。
そして、この金額を、実際に働いている時間で割りました。
時給 約2万円
準備や移動を全部含めて、これを下回る仕事は、受けるほど損をしている、ということです。
この数字を持ってから、仕事の受け方が変わりました。金額を見る前に「準備に何時間かかるか」を先に見積もるようになりました。同じ30万円の仕事でも、資料が既にあるなら時給3万円、ゼロから作るなら時給1万2,500円です。倍以上違う。同じ「30万円の仕事」に見えていたものが、まったく別の仕事でした。
4. 独立前の自分に渡すなら、この順番で計算する
- これから出ていく教育費の総額を出す(いちばん大きく、いちばん見えていない)
- 住まいにかかるお金を、これから出ていく総額で出す
- 月の固定費を、事業と家庭をまとめて出す
- 1〜3から、月の損益分岐点を出す
- それを、実際に働ける時間で割って、時給にする
- その時給を下回る仕事は受けない、と決める
大事なのは6番です。数字を出すこと自体が目的ではありません。「受けない」と決められる基準を持つことが目的です。
私は8年間、その基準を持たずに働いていました。基準がないと、目の前の金額がそれなりに見える仕事を、断れません。